ゆ〜こさんの風呂散歩

神戸在住の風呂好き女が行く、銭湯めぐりのまとめです。

【高砂市】梅ヶ枝湯

 

 

『銭湯には"表の顔"と"裏の顔"がある。』

 

・・・なんてツウぶったことを申し上げている私ですが。実際、表の顔(正面玄関)からは想像もできないような裏の顔(釜場.煙突)を持つ風呂屋があったりする。

なので、風呂屋に行った時は必ず表だけでなく裏も確認するようにしています。

私が過去訪れた銭湯のなかでも、特に見応えのある"裏の顔"を持っている場所がこちらです。

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「梅ヶ枝湯」さん。

高砂駅から徒歩で5分ちょっと。

昭和18年創業の、戦前から残る風呂屋です。

 

表の顔はモルタル壁が渋いシンプルな建物。

そして気になる裏の顔がこちら。

 

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表とは外観のイメージがガラリと変わります。

立派な木造釜場。幾度か増改築を繰り返し、現在のような不思議な様相となったもよう。

古さも相まって、なんだか幻のよう。そこに実在しているのが、すごく不思議に思える。

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梅ヶ枝湯さんには5年前にも一度訪れているのですが、この裏の顔がいつまでも忘れられませんでした。

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煉瓦を組んで作られた太くて立派な煙突。
写真では分かりづらいですが、黒い煙を吐いています。
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内側も気になるなぁ・・・。
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燃料の薪材です。

昔から変わらず、薪で湯を沸かし続けています。

裏側だけでもお腹いっぱいになれる風呂屋なのですが、表側もまた素晴らしい。

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純度100%のノスタルジア

揺れる風呂暖簾に揺れる思い。

ドキドキドキドキ・・・

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写真左側にニャンがいます。

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ニャンニャン

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入り口は京都の風呂によく見られるタイプ。

最初から男女で別れていて、風呂暖簾も入り口に二枚かかっています。

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ふぅ、と一息ついて、いざ!

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ここから先は秘密の花園です。

昔ながらのタタキの玄関に、番台が設置されています。靴を脱ぐ前に、番台でお金を支払います。下駄箱は木製。また、番台の下部分も下駄箱になっております。

 

梅ヶ枝湯さんの一番の見どころは、なんといっても建物内部だと思う。

写真撮影はNGのため、お見せできないのが本当に惜しいのですが、脱衣所の雰囲気がもう、昭和初期そのもの。

 

ロッカーはもちろん木製で、扇風機やクーラーも懐かしい型。

建具も現在のものに比べるとやや小ぶりで、鏡や木のベンチにも年季が入っています。

広告に載っている電話番号も、今では絶対にかからないであろう番号が書かれていて、まるで本当にタイムスリップしたかのよう。

 

これが再現された空間ではなくて、残り続けた空間であることに、驚きと感激を受けます。

 

浴室には浴槽が2つ。奥の壁には少し小さいけれどタイル絵の風景画もあります。

浴室の入り口に設置されたタイル張りの水飲み台。「飲料水」と書かれていますが、実際にはもう水は出ません。こちらもかなり古いものと思われます。

使えないからといって撤去せずに、そのまま当たり前のように残されている。

梅ヶ枝湯さんのこの空気感は、そういうことの積み重ねで出来ているのかもしれません。

時刻は19時頃。すでに常連のお客様が4人ほどおられて、みなさん浴槽を取り囲むように身体を洗っていました。

 

ここは、みんなの風呂屋なんだな。

 

この風呂屋の日常の中に、余所者の私がふらりとお邪魔させて頂きます。

薪で沸かしたお湯はアツアツで、小さな浴槽で人と分かち合うお風呂は温かい。

 

湯上り後も、木製ベンチに腰掛けながらしばらく脱衣所を眺めていました。

全体的に薄暗い脱衣所。けれど、当時としてはこの暗さが標準だったんだろうな。

この風呂屋から言わせてみると、今が明る過ぎるのかもしれない。

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ノスタルジーな気持ちを引きずりながら、駅までの夜道を歩いて帰りました。

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ずっとずっと、今までもそしてこれからも

この場所で湯を沸かし続けてほしい。

 

梅ヶ枝湯さん、ありがとうございました。

(追記)

2020.10に再訪問致しましたので写真を追加します。夕暮れ時の風呂屋は、より一層ロマンが増しますね♪

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梅ヶ枝湯

〒676-0063

兵庫県高砂市高砂町次郎助町1593

営業時間 16時〜23時

定休日 木曜