【函館市】大正湯
銭湯好きの方は今回のタイトルを見て「おっ!」と思われたのではないでしょうか。
そうです、北海道です。今回はあの超有名な「大正湯」さんへ伺いました。
函館どっく前駅から徒歩10分ほど。
なだらかな坂の上に、突如現れる洋風建築の風呂屋がこちら。
「大正湯」さんです。
いや、もう・・思わず万歳と叫びたくなる唯一無二の佇まい。
向こうに海が見える。そしてこの明るいピンクの外壁に、目の前の黄色の消火栓。異国の香りが漂う街で湯を沸かす風呂屋です。
函館がまだ箱館だった時代、ペリーの来航によって港が開かれ、異文化の受け口となりました。そのため、今でも函館には西洋の影響を受けた様々な歴史的建造物が残っています。
大正3年に大正湯が開業。
昭和3年に建て替えが行われ、現在の姿となりました。
西洋の建築を模した建物。けれど、ヨーロッパのどこを探してもこんな建物はない。外国なんて行ったことのない日本の職人さんがつくった建造物。あくまでも洋風ってところに浪漫があって、堪らなく心を打たれる。
建物裏と煙突。
玄関の側面にはスタンドグラス。
明るいうちに写真を撮って、入浴は夜になってから再度訪れました。
では、お邪魔します!
玄関スペース。ここで男女に別れています。
天井も壁も側面のタイルもピンクです。
そして市松模様のタイルに力強い「大正湯」の文字。
文字も、周りの縁の装飾も素敵です。
玄関のドアを潜るとこれまたレトロな脱衣所がお出迎え。番台、高いなぁ!!関西の番台の高さに慣れているので、ここの番台がとっても高く感じる。
番台には美人で上品そうな女将さん。レトロ洋風なこの銭湯にぴったり合う方です。
タタキの玄関で靴を脱ぎ、下駄箱に納めます。
木札の鍵は真っ直ぐにさすタイプ。ちなみに関西では斜めさしが多いので、こういう些細な違いでも遠くの銭湯に来た感じがして嬉しい。
脱衣所にはロッカーというロッカーはなく、常連さんは籠に依頼をおさめて床に置いていました。一応貴重品を入れられるようなロッカーもあります。
有名な銭湯だからでしょうか、常連さん以外に旅行者と思われる方もちらほらおられました。
男女の境の壁に設置された楕円形の鏡もレトロちっくで可愛いなぁ。
浴室はというと、改装されていてとても綺麗。
奥の壁に湯船が2つありました。
中央のカランにはタオルをかけられるスペースがあって、とても使いやすい。
さぁて、旅の疲れを癒すぞーと湯船にチャポン♨︎あぁ、いい温度です。
他のお客さんの会話が聞こえてくる。端々に北海道弁が混ざっていて少し聞き取りづらいところに、なんとも旅情が湧いてくる。
湯に浸かりながら函館で見た景色を振り返っていました。開港した時期が同じだからか、どことなく我が地元の神戸に似た景色があった。
けれど函館は神戸よりもずっと古いものが多く残っている。この銭湯もそのうちの一つ。
水害に戦災、そして震災。何の災いもなければ今の神戸でもこういう銭湯に出会えていたのだろうか。
何度も壊れ、その度に立ち直ってきた街。一方で失われたものも多い。
古いものへの羨望や敬意の気持ちは、もしかするとそういう土地に生まれ育った故なのかもしれない。
遠く離れた函館の風呂で、かつての神戸にもあったであろう景色に想いを馳せていました。
また来れるかな。また行きたいな。
大正湯さん、ありがとうございました!
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大正湯
〒040-0056 函館市弥生町14-9
営業時間 15時〜20時
定休日 月曜 金曜