ゆ〜こさんの風呂散歩

神戸在住の風呂好き女が行く、銭湯めぐりのまとめです。

【神戸市】大黒湯

 

 

仕事で良いことがあると、何故か無性に風呂に行きたくなる。反対に、さっぱりうまくいかなかった日も風呂に行きたくなる。

結局のところ、風呂には年がら年中行きたい。

 

今日は良いことがあったので、俄然風呂の気分になった。行き詰まっていた事が、なんとか良い方向に転がりそうなのです。

 

「っしゃー、今日は風呂行こかー!」

 

終業時間ピッタリにパソコンを閉じて向かった場所がこちらです。

 

f:id:sj141008:20200728214537j:image

ふふふふ。

f:id:sj141008:20200729154119j:image

建物が半分見えたところで、マスクの下の顔が思わずほころんでしまう。

f:id:sj141008:20200728215139j:image

「大黒湯」さん。よく見ると結構洋風な建物。

ぱっと見新しい感じがしますが、実は創業自体は古く、大正6年からこの地に湯を沸かし続けておられます。

新開地駅から30分ほど。

湊川公園駅からなら20分ほど。

仕事終わりなのによく歩いたね。自分頑張った。

f:id:sj141008:20200728215242j:image

f:id:sj141008:20200728215315j:image

屋号の上には、少し分かりづらいですが大黒様が微笑んでおられます。洋風建築×大黒様のコラボになんだかグッとくる。

f:id:sj141008:20200728215407j:image

狭い路地で、隙間からニョキッと煙突が顔を出しています。

f:id:sj141008:20200728215738j:image

いっぱい歩いたから汗かいちゃいましたよ。

さてさて参りましょうか!

f:id:sj141008:20200728220044j:image

玄関。ちょっとカクンとした間取り。
f:id:sj141008:20200728220048j:image
f:id:sj141008:20200728220039j:image

なんか良い匂いするなぁと思ったら、蚊取り線香を焚いていました。夏だ。

f:id:sj141008:20200728220312j:image

脱衣所のドアをくぐると、まずはカウンター。

お金を払って、暖簾をくぐります。

 

おお、・・・・明るい!!

 

近頃、渋めの風呂ばかり行っていたせいか、ここの脱衣所がやたら明るく感じる 笑

近代的な明るさです。

 

脱衣所は少しこじんまり。以前までは番台式だったため、フロント式に変わったぶん少し狭くなっています。

天井にはこれまた洋風なプロペラファンが優雅に回っております。

 

そして浴室。

大黒湯さんの浴室は、とにかくタイルの配色がすごく綺麗。

床、天井、カラン、浴槽の側面、フチ、それぞれに違う色とりどりのタイルが貼られているのですが、それがすごくセンスが良い。

しかも、よく磨かれていてめちゃくちゃピカピカ。

 

ウチの風呂も、こんな風に綺麗なタイルでいっぱいにしたいなぁ・・・なんて乙女な想像が膨らみます。

 

カランの丸い鏡も可愛いなぁ。

四角鏡よりも、やっぱり丸鏡が可愛い。

 

お湯はというと、熱過ぎず、という温度。

ちょうどいいのでゆっくりと浸かっていられます。今日はよく働いた。そしてよく歩いた。

 

あぁ、ええ湯やなぁ・・・。

 

f:id:sj141008:20200728230818j:image

f:id:sj141008:20200728230851j:image
f:id:sj141008:20200728230855j:image

よし、エナジー満点です。

 

大黒湯さん、元気注入をありがとうございました!

 

(追記)

f:id:sj141008:20210620221505p:image

先月に廃業されたと報告を受け、2021年6月に再訪致しました。

たとえお湯に浸かれなくても、洋風建築の風呂屋と大黒様を、最後にどうしても一眼みておかなければ・・・。

f:id:sj141008:20210620205822j:image

遠くから、煙突が見えて少し安心。

f:id:sj141008:20210620210234j:image

角を曲がるとふいに現れる、洋風の建て構えに思わずハッとしてしまう。

けれど暖簾が揺れていないのが切ない。

f:id:sj141008:20210620210907j:image

大黒湯さんです。夜には分からなかった、グリーンの優しい色合いの壁。そしてちょこんと鎮座する大黒様。

f:id:sj141008:20210620212047j:image

なくなってしまうなんて・・・せめてこの建物だけでもどうにか残ってくれないかな・・・

そう思いながらしばらく佇んでいると、後片付けをしている店主の息子さんが外に出て来られました。

息子さん「よく来てくれてたの?」

私「よく来させてもらってました。最後に一眼見ておこうと思って・・。写真撮らせてもらっていいですか。」

息子さん「もちろん。写真撮って、ここにこんな風呂屋があったってこと残してもらえると嬉しい。」

本当は続けたいんだけどね、僕も歳だから・・と残念そうに笑う息子さんの顔が忘れられません。

息子さんが仰るに、もともと大黒湯さんは旅館だったもよう。それが大正時代の話。

いつしか旅館から銭湯へと業態を変え、時は流れ、大正から昭和、平成、そして令和までこの地に湯を沸かし続けられました。

f:id:sj141008:20210620213359j:image

104年という歳月は長い。その長い長い歳月をこの場所で刻み、見守り続けた風呂屋

その最後を見届けるのは、寂しい。

f:id:sj141008:20210620215133j:image

良かったら思い出に・・と店主さんにタオルと石鹸のセットを頂きました。最後の最後まで、風呂人情を感じさせてもらいました。

「ありがとうございました。」

と店主さんと建物に感謝の気持ちを伝えて、いよいよお別れです。

f:id:sj141008:20210620214852j:image

大黒湯さんは駅からちょっと遠くて、それでもわざわざ足を運びたいと思う、魅力あるお風呂屋さんでした。

残していかなければ。のれんが無くなっても、看板が無くなっても、建物が無くなっても。何もかもが無くなっても。

f:id:sj141008:20210620220659j:image

ここに風呂屋があったこと。

大正時代から湯を沸かしていたこと。

大黒様が微笑む洋風建築の外観だったこと。

色とりどりのタイルが施された明るい浴室だったこと。

午後に訪れると西陽に照らされて、それはまるで浮かび上がるように美しい風呂屋だったこと。

時を超えて、多くの人に愛されたこと。

 

大黒湯さん、今まで本当にありがとうございました。

----------------------------

大黒湯

〒652-0061

兵庫県神戸市兵庫区石井町6丁目4−1

営業時間  14時〜23時半

定休日 月曜