【神戸市】湊湯
「東の浅草、西の新開地」
今では想像もつかないけれど、かつて「新開地」は関西でも有数の大歓楽街だったという。
そんな"いにしえの繁華街"に、「現存する神戸の風呂で、一番ディープな場所はここじゃないかな・・」と個人的に思っている風呂屋があります。
新開地駅から徒歩5分。
「湊湯」さんです。
・・・て、この位置では全く様相が分からないですね。ここから少し奥に進むと・・・
風呂屋の入り口が見えてきます。
手前がコインランドリーで、奥が銭湯です。
湯暖簾はかかっておらず、少し怪しげな雰囲気が不思議な好奇心を掻き立ててくれます。
屋号名は「湊湯」さんなのですが、何故か風呂看板は「湊温泉」。うーん、ミステリアス。
呼んでいる。風呂が私を呼んでいます。いざ!
脱衣所。非常に広々。
鶴亀錠。
ドアをくぐると、フロント式の番台がお出迎え。お金を支払って女湯側の脱衣所へ。
脱衣所も非常に広々。開放感すら感じます。
浴室のドアをくぐると、まず目に飛び込んでくるのが奥の壁に施されたタイル絵。
どデカイ花の絵です。近くで見るとナンダコレとなりそうですが、遠くから見ると一輪の花の絵だということが分かります。その大胆な構図に、思わず愛しさが込み上げてくる。
さて、まずは身体を洗うぞ〜とカランへ向かおうとしたところ、ふと小さな浴槽に目がいきました。
!!!!
塩風呂だ!!!!
衝撃を受けてしまった。
私はてっきり、大正湯さんが初の塩風呂体験だと思っていたのに・・・。こんな近場に、それも何度も訪れているはずの風呂屋に塩風呂があったなんて・・・。
驚きを胸にしまい込みながらカランへ。
浴槽は大きな主浴槽と、ジェットバス風呂と、塩風呂。身体を洗ってまずは主浴槽へ。
うぅ、アチチ!ゆっくり肩まで身体を沈めると、次第にほぁああ・・としてきます。極楽状態です。
ずっとここに浸かっていたいけれど、やっぱり塩風呂も行きたい。のぼせる前に移動します。
塩風呂はぬるめの温度。けれどこれがすごいんです。めっちゃポカポカになるんです。
「きっと今、私の身体は塩のヴェールに包まれている・・・。」と湯活のススメのKENKENさんに教えて頂いたことを思い出しておりました。塩風呂には保温効果があるそうです!
塩の湯に浸かりながら、ふぅと辺りを見回します。カランや壁など、所々に年季を感じる。湊湯さんは一体、いつ頃からこの場所に存在しているのだろう。
この風呂は、かつての新開地の賑わいを知っているのだろうか。新開地の繁栄に陰りを見せ始めたのが高度経済成長期。神戸市役所が三ノ宮へ移った頃だそう。
「もしタイムマシンがあったなら、過去と未来どっちに行くか」を考えると私はやっぱり過去が見てみたいなと思う。
自分が知らない、けれど確かに存在していた街の風景や人々の暮らしを見てみたいんです。
あぁ、でも。子供の頃の自分はこの場合、迷わず「未来」を選んでいたんだろうな。
この質問で「過去」を選択してしまうことが、なんとなく自分が歳を食った気がして、なんだか切ない。
もしいつかタイムマシンに乗ったら、真新しい湊湯さんの様子も見に行こうと思う。
湊湯さん、ありがとうございました!
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湊湯
営業時間 11時〜23時
定休日 木曜