ゆ〜こさんの風呂散歩

神戸在住の風呂好き女が行く、銭湯めぐりのまとめです。

【大阪市】菊水温泉

 

 

古い建造物が好きです。

なかでも、銭湯は特に美しいと思う。

 

何故いきなりそんなことを申し上げるのかと言うと、「なんでこんな綺麗でもない風呂屋が好きなのか」と尋ねられたからです。

 

この日降り立ったのは大阪城公園駅。

その名のとおり、「大阪城」のすぐ目の前の駅です。しかしながら、相変わらず目的は「風呂」です。

 

駅からチョロチョロと15分ほど。

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あっ!風呂煙突!!

これが見つかればあとは簡単。

煙突を目印に近付いて行きます。

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順調に近付いています。

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わーい♪今回の目的地「菊水温泉」さんです。

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釜場。この路地の雰囲気とバッチリマッチしてます。

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さて、この角を曲がると・・・

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菊水温泉さん、正面口に到着です♪

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むむ。路地が狭すぎて建物全体の写真がうまく撮れない・・・。必死にベストポジションを探してる間にまんまとヤブ蚊の餌食になってしまいました。

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写真では少し分かりづらいですが、木材をくり抜いて作られた屋号看板です。良い味出てますわよ。

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さてさて。足も痒いのでそろそろお邪魔しましょうか。

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玄関。天井がドーム型です。

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下駄箱。

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脱衣所のドアをくぐると、そこに広がるのは

・・・いにしえの脱衣所空間。

 

番台、木の柱、格子天井、土壁、木製ロッカー、動いていない振り子時計・・・。

 

あぁ。あぁぁぁ・・・

来て良かった・・・・。感涙

 

番台のお父さんに入浴料を支払います。

料金は410円。

 

私「あの、ポストカードまだありますか?」

 

ラッキー植松さんの銭湯ポストカードに「菊水温泉バージョン」があったはずなので、一応確認。

 

お父さん「もうないねぇ。」

 

ビーン。そうか・・・残念。

結構人気なんですね。仕方ない。

 

ポストカードが手に入らなかったのは無念ですが、その分脱衣所と浴室をこの目にしかと焼き付けるぞ。

 

浴室に入ると、これまた雰囲気がガラリと変わります。

ど真ん中にドン!と長方形の浴槽。

そうそう、これこれ。

風呂っちうのはこういうのなんだよ。

 

そして、ふと奥の壁に目を向けるとピンクの壁に浮かび上がる何やらメルヘンな馬車のモザイクタイル絵。

 

そうそう、これこれ。

風呂っちうのは時々よく分からないんだよ。

 

身体を綺麗に洗って、いざ入浴。

しっかりめのお湯だ。

 

静寂な空間で、ゆったりとお湯に浸かっていると、常連のおばあちゃんがこれまたゆっくりゆっくりと浴槽に足を伸ばし入れてきました。

 

ちょっとおぼつかない感じだったので、大丈夫かなぁと思いながら静かに見守ります。

 

おばあちゃん、無事に肩までお湯に疲れました。良かった良かった。

 

おばあちゃん

「ふふふふ。よ〜沸いてるなぁ。」

「ふふ。熱いですねぇ。」

おばあちゃん

「せっかく浸かったけど、もうあがらなアカンわぁ。」

 

そう言って、おばあちゃん1分も浸からずにあがってしまいました。私も、ちょっと休憩しようかな。

なんだか、この風呂屋は時間の流れがゆっくりです。

 

湯上り後、脱衣所でいにしえ空間を満喫していたら番台のお父さんがこちらにやって来て、

 

「なぁなぁ。もしかしてポストカードてこれのことかいな?」

 

見てみると、お父さんの手には大量のポストカードの在庫が・・・・

 

おおおおおお父さん・・!?

 

私「それです!それですよ!!笑」

お父さん「なんや、これのことか〜。」

 

お父さん、めちゃくちゃ残ってますやん!

とりあえず、菊水温泉さんバージョンのポストカードが無事に手に入って一安心。

 

何故かお父さん、このポストカードを欲しがる私をやたらと不思議がる。

 

お父さん

「なぁ、これホンマに欲しいん?こんなん集めてんの??」

「欲しいですよ!こんなんとか言わんでください 笑」

お父さん

「・・・分からん。趣味の違いやなぁ。」

 

何故だよ、お父さんんんん 涙

 

風呂屋が好きなんです。」

お父さん

「ふーん。」

 

お父さん

「他にも綺麗な風呂屋なんていっぱいあるのに。何でこんな綺麗でもない風呂屋が好きなん?」

 

ちょっとドキッとしてしまった。

周りからは何故あえて銭湯が好きなのかと聞かれることがあるけれど、風呂屋の店主に、しかもそんなふうにを聞かれたのは初めてだった。

 

綺麗な風呂屋じゃなくて、

美しい風呂屋が好きなんです。

 

少し思案して、浮かんだ答えがこれだった。

 

銭湯は美しい。

それは私が銭湯に抱いている確固とした信念です。

古い神社仏閣や城、もちろん綺麗で価値のある建造物だけれど、銭湯にはそれらとは違う美しさを感じる。

それは、多分「残されたもの」ではなく「残っているもの」であることに違いがあるのではと思う。

 

「残っているもの」は「残されたもの」にはない生々しさがあって、そのリアルな息遣いに、私は「美」を感じる。

 

・・・・なんてことをお父さんに語っても、ますます不思議がられそうなので

 

「ここも綺麗ですよ。」

と言って、とりあえずニコニコした。

 

帰り際、お父さんの

「わざわざ、来てくれてありがとう。」

という言葉になんだか胸が温かくなったのでした。

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銭湯は美しい。

湯が沸いている町も、湯がある日常も、まるごと美しい。

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無事にゲットできたラッキー植松さんの銭湯ポストカード。

菊水温泉さん、ありがとうございました!

 

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菊水温泉

大阪府大阪市城東区中浜1-3-6

営業時間 16時〜21時

定休日 第1、3月曜