【大阪市】源ヶ橋温泉 (風呂跡)
先月、生野区の「源ヶ橋温泉」さんが廃業したという知らせを聞いた。
今年の4月に廃業届けを出されていたもよう。
大阪でもキング的存在の銭湯。
昨年からずっと休業状態が続いており、嫌な予感がしていたけれど、心の中でずっと再開を祈っていました。
喪失感。
風呂を追い始めてから何度もこの気持ちを味わったけれど、源ヶ橋温泉さんの廃業の知らせは今までとは何か一味違う。
「あぁ、ひとつの時代が終わったな。」
平成が終わった時以上に、そう感じた。
結局、最後の訪問は廃業後になってしまったけれど。
その姿だけでも記録に残したいと思います。
最寄駅の寺田駅から徒歩10分ほど。
商店街のアーケードをテクテク歩きます。
「源ヶ橋温泉」さんです。
昔、この辺りには「猫間川」という川が流れていたそう。その川に架かっていた橋が、「源ヶ橋」です。
今では川も橋も無くなってしまったけれど、その橋の名をとった屋号は現在まで残り続けました。
全国で初めて「国の有形文化財」に登録された銭湯。
瓦屋根にステンドグラスの窓。
和洋折衷の帝冠建築は、源ヶ橋温泉さんが開業した昭和初期に流行した様式だそう。
中でも目を見張るのが、この自由の女神像。
「入浴=ニューヨーク」のシャレです。
手に持つトーチは「♨︎」になっています。
また、屋根の上にはシャチホコ。
シャレ好きで派手好きの、大阪ローカル色満載の外観です。
一体、この外観だけでいくらかかっているのだろか。そう思って、調べてみたところ「当時の金額で8万円(一般的な銭湯の2倍の費用)」とのこと。
内観もかなり贅沢な造りだったが、外観にも相当贅を尽くしていたもよう。
戦時中、敵国を連想させる自由の女神像は憲兵に目をつけられ、撤去される予定だったという。ただ、いざ撤去を試みたところあまりにも頑丈でビクともせず、結局諦め帰ったという逸話が残されています。
激動の時代を潜り抜けたこの像を、今でもこうして拝むことができるのは、すごく有り難くて、そして尊い。
建物前に設置されている街灯も、何気に年季が入っていて素敵。
煙突。すでにビニールが掛けられていました。
正面玄関周り。
建物、設備の老朽化。
燃料、地価の高騰。
経営者の高齢化、後継者不足。
家風呂による銭湯離れ・・・。
たとえどんなに愛されていても、どれだけ有名であっても、今の時代に銭湯経営を続けるのは、本当に難しいのだと思います。
今後、銭湯は減ることはあっても増えることはまずないでしょう。
もしかしたら・・・今の私たちは、「銭湯」という文化に触れられるギリギリの世代なのかもしれません。
町の中で、ホッと一息つける場所。
そんな安らぎの空間が、徐々に無くなっていってしまうのは、本当に寂しい。
源ヶ橋温泉さん。
初めて訪れた時の感動、決して忘れません。
その豪華で不思議な外観とレトロなのにオシャレな内観に圧倒されて、「銭湯て、やっぱり面白いな!」と改めて思わせてくれました。
風呂を好きになれて良かった。
ここに来れて良かった。
今まで、本当に本当に、ありがとうございました。
-------------------------------
源ヶ橋温泉
〒544-0023