【神戸市】つかさ湯
JR元町駅から神戸駅の高架下に続く長〜い商店街。昼間なのに薄暗く、ディープな空気が漂っているこの場所は・・・
元町高架下商店街。
通称『モトコー』。
ガイドブックには載っていない、神戸のアンダーグラウンドです。起源は戦後の闇市の名残という。
2016年に高架の耐震工事が決まり、営業店舗は次々と移転や閉店で姿を消してしまいました。
もう見られなくなる景色なのかな。
随所随所にハッとするような光景が見られる面白い商店街なのですが・・・。
神戸の超老舗洋菓子店。
知る人ぞ知る、レンセイ製菓さん。
今は残念ながら、お菓子は作っていないとのこと。以前、ここのお菓子を購入したことがあるのですが、とびきり美味しかった!というよりは貴重な味だなぁと思った記憶があります。
昭和の洋菓子。私の知らない時代の味。
アーケードで隠れている外壁部分に、ひょっこりとレトロな要素が隠れています。
独特なオリジナル広告。
一部、アーケードが設置されていない部分があります。個人的に、お気に入りの箇所です。
手前のレトロな看板もいい味出してます。
天井をよ〜く見ると何やら色々書かれてます。
ん〜、分からん!
落書きが目立つけれど、よく見るとキュンとくるドア。
お。蝶々。(蛾かも)
本当はモトコー7まであるのですが、シートに覆われていて通り抜けできませんでした。
なので、ここで行き止まり。
今年の正月にモトコーを通った時に、とあるお店で中古の花札が売られているのを見かけて、
「買おうかな。」と一瞬思ったのですが
「ま、次来た時に、まだあったらでいいか。」
と思ってその時は素通りしてしまいました。
まさかこの期間で、ここまでモトコーの撤退が進むとは思っていなかった。
本当はこの日、あの花札がやっぱり欲しくなって買いに来たのですが、残念ながらお店ごと無くなっていました。
あの時、買っておけば良かったな。
前置きが随分長くなってしまいましたが。
ちょっとの思い残しを胸に、この日訪れたのはモトコーのすぐ近くにあるこの風呂屋。
「つかさ湯」さんです。
安心安定の湯あそびひろば系列の風呂屋。
竹炭の露天風呂が売りです。
まだ明るい昼下がりに訪問。
この日の女湯は私一人だったので、広ーい湯船を独り占めです。贅沢です。
静かな水面に映る逆さまの景色を飽きるまで眺めてました。
共進牛乳さんの瓶牛乳。
小学生の頃、毎日給食で共進牛乳さんの瓶牛乳を飲んでいました。あまり他の銭湯では見かけないので、つかさ湯さんに来たら湯上りに必ず購入します。
すっかり癒されました。
つかさ湯さん、ありがとうございました!
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つかさ湯
営業時間 14時〜23時 土日は12時〜23時
定休日 木曜
【尼崎市】第一敷島湯
食べすぎたなぁ〜、と夕飯の後に一人で反省。
暑さが和らいだせいでしょうか。なんだか食欲が増してきた今日この頃です。
「運動がてら、ちと散歩行こかな〜。」
そう思い立って、気が付けば片手に風呂バッグ。ふっふっふっふ・・・夜の風呂散歩に出発です♪
散歩なのに電車に乗って、ユラユラ揺られて降り立ったのは、杭瀬駅。
5分ほど歩いてたどり着いたのは・・・
「第一敷島湯」さんです。
創業は大正12年。間も無く100年を迎えるところ。この辺りでは珍しい唐破風屋根の外観は創業当時からのものです。
玄関。入って真正面に傘入れってのもなんだか関東っぽいです。
下駄箱
つばめ錠
脱衣所のドアをくぐるとまずは番台。
さらにそこから暖簾をくぐるとレトロ空間満載の脱衣所がお目見えです。
ブラウン管テレビには野球中継が流れていました。上を見上げると、白い格天井。
手持ちドライヤーはなく、時間無制限のオカマドライヤーが設置されています。
壁にはズラリとサイン色紙が。
関西風呂の父、松本康治さんや私が集めている風呂ポストカードを描いているラッキー植松さんのサインもあります。
浴室はというと、様々なタイルをふんだんに使った明るい空間に、壁には立派なタイルの風景画。
本当、風呂屋の浴室っちうのは一種の芸術空間ですよね。よく磨かれたタイルはどこもピカピカです。
丸い湯船には薪で沸かしたお湯がたっぷりと湧いています。うあ〜、気持ちいいなぁ〜。
この時の客は私一人。この空間を独り占め。
贅沢や・・・。贅沢な散歩や・・・。
ちなみに第一敷島湯さんのベスト煙突スポットは・・・
歩道橋の上です。
よく温まりました♪
第一敷島湯さん、ありがとうございました!
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第一敷島湯
営業時間 14時40分〜23時
定休日 火曜
【大阪市】新木川温泉
家で皿を洗っていたら、どこからともなく蝉の声が。
そういえばしばらく、蝉の声を聞いていませんでした。相変わらず蒸し暑いけれど、季節は確かに変わろうとしていますね。
この日は、ずっと気になっていた風呂屋へ。
道中、駅のホームにて。
突然の夕立ちに、虹がかかりました。
今日の風呂散歩、なんだかいい感じです。
この日降り立ったのは、十三駅。
駅から歩いて15分ほどの場所にあるのが・・・
「新木川温泉」さんです。
なんて可愛い屋号看板なの!
屋号の下にモザイクタイルがあしらわれています。正面玄関の壁にも一面にタイル。アーチ型の玄関といい、白い扉といい、全体的にオシャレな雰囲気じゃありませんか。
横に長〜い風呂屋です。
自転車に紛れて、こりゃまたレトロな猫車。
建物横には燃料の薪が。
ではでは、参りましょうか。
色合いの綺麗な玄関。タイルが爽やかです。
玄関のドアをくぐると、まずカウンター・・・と思いきや、番台!あら、不思議な造り。
番台を想像すると、普通は玄関に背を向けて、脱衣所の方を向いているのをイメージしますが、こちらの番台は玄関の方を向いています。
番台が真ん中で、男女の脱衣所が左右に広がっている間取り。なるほど。だからこの風呂屋、横に長いのですね。
浴室の入り口もアーチ型です。
かわゆい入り口をくぐると、ちょい古めのカランと御影石の浴槽が3つ。
天井と壁の半分が、外観と同じ青の色に塗られています。
汗を洗い流して、浴槽へ。
おぉ、入りやすい温度だ。
常連のお客様が続々とお見えになられています。賑やかな銭湯、なんだか嬉しくなっちゃいますね。
日が暮れるのが徐々に早くなってきましたね。今度は夜のライトアップバージョンも見たいな。
新木川温泉さん、ありがとうございました!
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新木川温泉
営業時間 15時〜23時
定休日 金曜
【大和高田市】高砂湯
前記事でご紹介させて頂いた中央温泉さんから徒歩圏内に、これまた渋くて最高な銭湯があります。
ココ。そう、ココは・・・
「高砂湯」さんです。
定休日は4と9が付く日。
中央温泉さんの定休日が5の倍数なので、ハシゴ風呂する時は日付に注意です。
狭い路地に圧倒的な存在感。
こちら、以前にも訪れたことのある風呂屋なのですが何度来ても感動してしまう。
近所にこんな風呂屋があったら・・・
そんな妄想が膨らみます。
では、暖簾のその先へ。
引き戸も下駄箱も、木製。キュンです。
路地が狭いので自転車やバイクは中に停めるのがルールです。
竹のスノコと木製下駄箱。
美しいです。
この雰囲気、堪らんです。
脱衣所も、もちろん最高です。
木製のロッカーに、木製のベビーベッド。
壁には「あした たきます」と書かれた札。
もう、明日も来たくなっちゃうじゃないか。
あと、天井も珍しい造りで思わず見とれてしまいます。
(なんという様式の天井なんだろう。なんだか、和と洋が混ざった感じの・・・。とにかく綺麗な天井!)
浴室への扉はすりガラスで、中が見えないタイプです。期待で胸がドキドキしちゃいますね。
浴室には大きな湯船が一つ。
湯船と床には御影石が使われています。
そして壁にはぐるっと取り囲むように美しいタイルがあしらわれています。
お湯はしっかりめ。
中央温泉さんでだいぶ温もってしまったけれど、私頑張る。約90年前からある風呂屋のお湯に浸かれるという奇跡と有り難みを感じながら・・・。
銭湯ファンが思わず歓喜してしまう見所多しの銭湯です。
いにしえのロマンをたっぷり浴びました。
高砂湯さん、ありがとうございました!
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高砂湯
営業時間 16時半〜10時
定休日 4と9がつく日
【大和高田市】中央温泉
夏になると、必ず奈良に行く。
どういうわけか、夏になると行きたくなる。
超暑いのに。困ったもんです。
そんでもって、奈良にはリピートしたくなる素敵な風呂屋が多い。
超遠いのに。困ったもんです。
高田駅から10分ほど。
この日訪れたのは・・・
「中央温泉」さんです。
クラッとくる。決して暑さのせいではありません。
立派な入母屋破風。ロマンが過ぎる。
神戸にもほんの数年前までは入母屋破風の屋根を持つ銭湯があったのですが、廃業してしまい今は一軒も残っていないので尚有り難みを感じてしまう・・・。
外観に感激し過ぎて、なかなか中に入れません。
煙突。それにしても暑そうな空。
行くか。行きますか。
お、風のイタズラ。中のタイル絵がちらリズム!
玄関。木製の引き戸!木製の引き戸!!
木製の引き戸だぁぁああ!!!
(テンションの針が振り切った)
コンクリートむき出しの床もめっちゃいいですよね!!!!!
下駄箱!
木製の傘入れ!!
土壁に格天井!!!
この風呂屋、どんだけ私を喜ばせてくれるつもりなんや。
縦横の木目が順番に並んでいます。
それにしても綺麗な杢ですね。敢えて美しい部分を選んだのでしょうか。板一枚一枚に艶があるように見えます。
それでは、脱衣所へ。
少しガタつくレトロな引き戸を開けるとその先には・・・・
はっ・うぅっ・・感涙
言わずもがな、そこにはありとあらゆるレトロに溢れていました。
ケヤキの木製ロッカー。扉一枚一枚に施された漢数字。玄関と同様に天井いっぱいに広がる格天井。昼間なのに全体的に薄暗い空間。
真夏の幻なのか。いや、現実だ。かつて存在した、とある時代の光景だ。
番台のお父さんに尋ねたところ、こちらは昭和5年からある風呂屋とのこと。
感無量になりながら、浴室へ向かいます。
私が訪問した際は、浴室のドアは常に開けっ放しでした。夏だからでしょうか。閉めないのがこの風呂屋のローカルルールなのか?と思いながら私もドアを全開にしたまま浴室へ。
まず目に飛び込むのは、壁一面に広がるモザイクタイル画。アルプスの光景を彷彿とさせる作品です。
そして浴室の真ん中にはドン!と浴槽が一つ。
床は少しガタがきていて、ところどころ隆起しています。足元にはお気を付けてください。
常連のお客さんが多くて、私が加わったことでカランが全て埋まってしまいました。
身体を洗ったら早速浴槽へ。
浴槽は中で半分に仕切られていて、狭いほうと広いほうがあります。
狭いほうにはすでに人がおられたので、広いほうへ足を伸ばそうとしたところ・・・
「そっちは熱いでー!まずはこっちで身体を慣らすんやぁ。」
と狭いほうにいたおばあちゃんからアドバイスを頂きました。
おばあちゃんが招き入れてくださったので、せっかくだから狭いほうに入れていただきます。
お湯の温度感はちょい熱めです。
「気持ちえ〜やろぉ。縁に頭乗せて足伸ばすと最高やで〜。」
「あぁ、ホンマですね〜。」
おばあちゃんに言われるがままに、私も浴槽の縁に頭を乗せてめいいっぱいに足を伸ばします。完全に無防備な姿だが、本当に気持ちいい。湯と身体が一体になる瞬間て、ありますよね。
壁一面のアルプスを眺めながら、不思議と夢を見ているような気持ちになるのでした。
湯に浸かってる時の私、こんな感じ。
名残惜しいけど、さよなら、いにしえ空間。
また奈良に好きな風呂が一つ増えてしまった。
中央温泉さん、また必ず訪れます。
ありがとうございました!
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中央温泉
営業時間 14時〜18時半
定休日 5の倍数
【神戸市】本庄湯
『焼け野原に立っているのは、焼け焦げた電柱と、風呂屋の煙突だけだった。黒々とした地面に"本庄湯"の風呂屋の煙突が、ニョキッと立っている姿が異様に目立った。』引用: 講談社 妹尾河童作「少年H 下段」より
長田の本庄町は「少年H」の作者、妹尾河童さんが生まれ育った町です。
誰もが一度は耳にしたことがある有名なタイトル。
幼少期と青春時代を「戦争」の渦中で過ごした少年。不条理な思いを抱きながらも瑞々しく、そして逞しく成長する姿を綴ったこの本の中に、度々登場する銭湯があります。
「本庄湯」さんです。
可愛すぎる屋号看板。
ここまで情緒のない風呂看板も珍しい 笑
少年Hこと肇少年が通った風呂屋です。
円窓。カモメのレースカーテンがかかっています。
こちらは建物裏。
建物の間にさりげなく立つ本庄湯の煙突。
レンガの壁。煙突掃除用のブラシも。
では、暑いことですしそろそろお邪魔しますか。
玄関。
天井。華やかだ。
タイル。
ツバメ錠
脱衣所は番台式。
夏の脱衣所て、ひぃんやりとしていて、ほんっとーに気持ちいいですよね・・・♪
エアコンがなかった時代の脱衣所て、ホンマに暑かったんやろなぁと思いながら、しばらく休憩します。
天井を見上げると、玄関と同じ花模様とライトが。華やかですな。
男女の境の壁にはお魚のモチーフ。
さて、汗も飛んだのでそろそろ浴室へ。
本庄湯さんは汲み出し洗い専用槽がある風呂屋です。神戸の銭湯遺産、有り難く使わせて頂きます。
浴槽は二つ、丸型と横長型。どちらも浸かりやすい温度です。
壁には天使のタイル絵。男性側の壁からは、裸婦画のタイル絵が見えます。
湯に浸かりながら、ふと少年Hのことを考えていました。あの本を読むと、私は必ず親子丼が食べたくなるんです。
親子丼・・・。
あぁ、親子丼・・・・・。
今日の晩御飯は親子丼で決まりですね。
夕方なのに、まだお日さんがギラギラしてます。風呂でたっぷり汗をかいて、また汗をかきながら家に帰らなくては。親子丼のために帰ろう。
風呂を満喫できる日々に感謝して・・・
本庄湯さん、これからもよろしくお願い致します!
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本庄湯
兵庫県神戸市長田区本庄町6-4-5
営業時間 15時〜22時
定休日 木曜
【大阪市】菊水温泉
古い建造物が好きです。
なかでも、銭湯は特に美しいと思う。
何故いきなりそんなことを申し上げるのかと言うと、「なんでこんな綺麗でもない風呂屋が好きなのか」と尋ねられたからです。
この日降り立ったのは大阪城公園駅。
その名のとおり、「大阪城」のすぐ目の前の駅です。しかしながら、相変わらず目的は「風呂」です。
駅からチョロチョロと15分ほど。
あっ!風呂煙突!!
これが見つかればあとは簡単。
煙突を目印に近付いて行きます。
順調に近付いています。
わーい♪今回の目的地「菊水温泉」さんです。
釜場。この路地の雰囲気とバッチリマッチしてます。
さて、この角を曲がると・・・
菊水温泉さん、正面口に到着です♪
むむ。路地が狭すぎて建物全体の写真がうまく撮れない・・・。必死にベストポジションを探してる間にまんまとヤブ蚊の餌食になってしまいました。
写真では少し分かりづらいですが、木材をくり抜いて作られた屋号看板です。良い味出てますわよ。
さてさて。足も痒いのでそろそろお邪魔しましょうか。
玄関。天井がドーム型です。
下駄箱。
脱衣所のドアをくぐると、そこに広がるのは
・・・いにしえの脱衣所空間。
番台、木の柱、格子天井、土壁、木製ロッカー、動いていない振り子時計・・・。
あぁ。あぁぁぁ・・・
来て良かった・・・・。感涙
番台のお父さんに入浴料を支払います。
料金は410円。
私「あの、ポストカードまだありますか?」
ラッキー植松さんの銭湯ポストカードに「菊水温泉バージョン」があったはずなので、一応確認。
お父さん「もうないねぇ。」
ガビーン。そうか・・・残念。
結構人気なんですね。仕方ない。
ポストカードが手に入らなかったのは無念ですが、その分脱衣所と浴室をこの目にしかと焼き付けるぞ。
浴室に入ると、これまた雰囲気がガラリと変わります。
ど真ん中にドン!と長方形の浴槽。
そうそう、これこれ。
風呂っちうのはこういうのなんだよ。
そして、ふと奥の壁に目を向けるとピンクの壁に浮かび上がる何やらメルヘンな馬車のモザイクタイル絵。
そうそう、これこれ。
風呂っちうのは時々よく分からないんだよ。
身体を綺麗に洗って、いざ入浴。
しっかりめのお湯だ。
静寂な空間で、ゆったりとお湯に浸かっていると、常連のおばあちゃんがこれまたゆっくりゆっくりと浴槽に足を伸ばし入れてきました。
ちょっとおぼつかない感じだったので、大丈夫かなぁと思いながら静かに見守ります。
おばあちゃん、無事に肩までお湯に疲れました。良かった良かった。
おばあちゃん
「ふふふふ。よ〜沸いてるなぁ。」
私
「ふふ。熱いですねぇ。」
おばあちゃん
「せっかく浸かったけど、もうあがらなアカンわぁ。」
そう言って、おばあちゃん1分も浸からずにあがってしまいました。私も、ちょっと休憩しようかな。
なんだか、この風呂屋は時間の流れがゆっくりです。
湯上り後、脱衣所でいにしえ空間を満喫していたら番台のお父さんがこちらにやって来て、
「なぁなぁ。もしかしてポストカードてこれのことかいな?」
見てみると、お父さんの手には大量のポストカードの在庫が・・・・
おおおおおお父さん・・!?
私「それです!それですよ!!笑」
お父さん「なんや、これのことか〜。」
お父さん、めちゃくちゃ残ってますやん!
とりあえず、菊水温泉さんバージョンのポストカードが無事に手に入って一安心。
何故かお父さん、このポストカードを欲しがる私をやたらと不思議がる。
お父さん
「なぁ、これホンマに欲しいん?こんなん集めてんの??」
私
「欲しいですよ!こんなんとか言わんでください 笑」
お父さん
「・・・分からん。趣味の違いやなぁ。」
何故だよ、お父さんんんん 涙
私
「風呂屋が好きなんです。」
お父さん
「ふーん。」
お父さん
「他にも綺麗な風呂屋なんていっぱいあるのに。何でこんな綺麗でもない風呂屋が好きなん?」
ちょっとドキッとしてしまった。
周りからは何故あえて銭湯が好きなのかと聞かれることがあるけれど、風呂屋の店主に、しかもそんなふうにを聞かれたのは初めてだった。
綺麗な風呂屋じゃなくて、
美しい風呂屋が好きなんです。
少し思案して、浮かんだ答えがこれだった。
銭湯は美しい。
それは私が銭湯に抱いている確固とした信念です。
古い神社仏閣や城、もちろん綺麗で価値のある建造物だけれど、銭湯にはそれらとは違う美しさを感じる。
それは、多分「残されたもの」ではなく「残っているもの」であることに違いがあるのではと思う。
「残っているもの」は「残されたもの」にはない生々しさがあって、そのリアルな息遣いに、私は「美」を感じる。
・・・・なんてことをお父さんに語っても、ますます不思議がられそうなので
「ここも綺麗ですよ。」
と言って、とりあえずニコニコした。
帰り際、お父さんの
「わざわざ、来てくれてありがとう。」
という言葉になんだか胸が温かくなったのでした。
銭湯は美しい。
湯が沸いている町も、湯がある日常も、まるごと美しい。
無事にゲットできたラッキー植松さんの銭湯ポストカード。
菊水温泉さん、ありがとうございました!
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菊水温泉
営業時間 16時〜21時
定休日 第1、3月曜
【大阪市】寿楽温泉
夏だ。夏だ。夏だ。
サンダルでペッタペッタ歩きながら、今日も風呂散歩です。ラフな格好で風呂に行けるのが夏の風呂散歩のいいところですね。
眩しすぎる太陽の下、この日向かったのはこちらの風呂屋です。
北加賀屋駅から徒歩5分。
「寿楽温泉」さんです。
シンプルな佇まい。風呂暖簾がパキッと映えてます。
そしてモザイクタイルで作られた屋号看板。
華美ではないけれど美しい風呂屋です。
建物裏も渋いです。
夏の空と煙突。
風呂暖簾が早くおいでと呼んでます。
よし、行くぞ!
ニッポンの夏、キンチョーの夏。
下駄箱と窓。
おや、梅雨の忘れ物ですか。
脱衣所のドアをくぐると、番台のお母さんが優しげな声で迎え入れてくださいます。
脱衣所の第一印象。
「鏡っ!」
男女の境の壁に設置された木枠の壁。
洗面台の鏡と、すぐ横に姿見。
そしてドライヤーの前に設置されたどデカイ鏡。
鏡が多くて、実際よりも広く感じるぞ 笑
外観同様とシンプルで、清潔な脱衣所です。
あと、ドラえもんの秘密道具「もしもボックス」のようなサウナが備え付けられていました。
浴室はというと、気持ちいいくらいに明るい!
奥の壁を見ると、浴室には珍しく結構下めの位置に大きな窓が設置されている。
お?これ外から見えるんじゃね?
ひょこっと窓から顔を出してみると、なるほど。外は建物の庭なので見える心配はなしです。(そりゃそうか。)
浴槽は浴室の真ん中に大きなものが1つ。中で仕切られていて、ジェットと普通の風呂に別れています。
浴槽の縁は御影石。そして周りの腰掛け段には緑のタイル。いかにも大阪の風呂って感じだなぁ。
汗を洗い流して、早速チャポン。
あぁ、しっかりめのお湯だ。
窓からたっぷりと入る自然光と、蝉の声。
癒される。たまらなく癒される。
2020年の夏、私はこの風呂屋から始まったな・・・。額にじんわりと汗を滲ませながらしみじみとそう感じました。
あぁぁぁ、極上の時間だった。
夏バンザイ!風呂バンザイ!
風呂暖簾が、バンザイしてるみたいだったので。
寿楽温泉さん、ありがとうございました。
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寿楽温泉
営業時間 15時〜24時
定休日 金曜
【大阪市】日之出湯
この日は天王寺で用事があったため、朝風呂が楽しめる銭湯「日之出湯」さんに足を向けてみました。
大阪の西成区は銭湯天国にも関わらず、私にとっては未開の地でした。ちなみに西成といえば、「じゃりン子チエ」の舞台にもなった地区です!どんな風呂に出会えるのかワクワクワク・・・
地図アプリを起動させて、おっと思いました。
日之出湯さんの立地は日本最後の遊郭とも言われる「飛田新地」のすぐ目の前。
さらには国の登録有形文化財にも登録されている遊郭建築「鯛よし百番」さんから歩いて5分ほどの距離。
鯛よし百番・・・。
大正ロマン漂う豪華絢爛な建築遺産。
見たい。写真では何度も見たけれど
こんなに近くにあるのであれば是非ともリアルでお目にかかりたい・・・!!
けれど・・・。
そのためには飛田新地を横切らなければいけない。朝っぱらとはいえ、女性一人でこの場所をウロウロするのは多少抵抗が・・・
おおおお〜〜!!!
(行った。)
リアルの鯛よし百番さん、圧巻です。さすがです。
夜はここで食事ができます。鍋料理が有名のよう。一度は行きたいですねぇ切実に。
ちょろっと寄り道でした♪
さて、では日之出湯さんへ!
イカニモ風呂ガアリソウナ通リデショ♪
この通りに庭園風呂が売りの「おふろや和光」さんと、今回の目的地「日之出湯」さんがあります。
テクテクテクテク歩くと・・・
日之出湯さんです。
電光掲示板のおかげで遠くからでも「ここに風呂ありまっせ!」ということが分かります。
風呂暖簾は日之出湯さん専用のもの。
煙突がある路地。素敵です。
ではでは、お邪魔致します!
ぐるりと見渡すと、壁にjazz音楽のジャケットが貼られています。
脱衣所のドアをくぐると、まず目に飛び込んでくるのは大胆な鯉天井。
縁起物の鯉が、これでもか!というくらいに大量に描かれております。その数はなんと108匹!
こちらの天井画、まだ新しい作品で2017年に木村英輝さんが手掛けたもののようです。
↓木村英輝さんのオフィシャルサイトで日之出湯さんの鯉天井の全容がご覧いただけます!
番台式の脱衣所には、心地良いjazzミュージックが流れておりました。さては店主さん、なかなかのjazz好きか?
天井画にも圧倒されますが、壁にペタペタと貼られているビラの多さにも驚かされます。
「枇杷蒸しの効能」
「ドライヤーは同時に使わないでください」
「軟水とは」
「鯉天井画の制作過程」
「8月8日はパイン飴の日」
「探偵ナイトスクープに出演しました」
その他もろもろ・・・
なんて情報量が多い脱衣所だろう。
なかでも気になったのが
「お背中流しま〜す♪」のビラ。
なんでも、一回500円で背中を流して頂けるよう。「枇杷石鹸を使って、ぬか袋で仕上げます」と書いてある。
そんな、現代の三助さんのようなサービスがあるなんて・・・。すごいな日之出湯さん。
脱衣所をぐるりと見物して、いよいよ浴室へ。
こちらの銭湯、お湯やカラン、シャワー全てに軟水を使われているとのこと。
嬉しいな、お肌スベスベになっちゃうわん。
シャワーを捻った瞬間、足の指先に刺激が!
一年ぶりに履いたサンダルのせいで、豪快に靴擦れしていた。ひえー。
でも、軟水シャワーのおかげで、心持ち痛みがマシな気がする・・・!(本当に気だけかも)
浴槽も非常にバラエティ豊か。
主浴槽、ダイエットバス、伊香保の湯、高温バス、足湯、水風呂、水素風呂の露天風呂・・・
さらにはフィンランドサウナ、枇杷蒸し、高気圧酸素カプセル・・・
こりゃ何時間でもいられますよ!
とりあえず、主浴槽でまったり。
程よい熱湯で気持ちいい・・・。
しかしながら、この後予定が控えていた私は後ろ髪引かれる思いでしぶしぶと楽園を後にするのでした・・・涙
今度は是非ゆっくりさせていただきます。
早起きは三文の徳ですね。
休日の朝風呂、最高です。
日之出湯さん、ありがとうございました!
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日之出湯
営業時間 6:00~23:00
火曜のみ 11:00~23:00
定休日 月曜
【大阪市】源ヶ橋温泉 (風呂跡)
先月、生野区の「源ヶ橋温泉」さんが廃業したという知らせを聞いた。
今年の4月に廃業届けを出されていたもよう。
大阪でもキング的存在の銭湯。
昨年からずっと休業状態が続いており、嫌な予感がしていたけれど、心の中でずっと再開を祈っていました。
喪失感。
風呂を追い始めてから何度もこの気持ちを味わったけれど、源ヶ橋温泉さんの廃業の知らせは今までとは何か一味違う。
「あぁ、ひとつの時代が終わったな。」
平成が終わった時以上に、そう感じた。
結局、最後の訪問は廃業後になってしまったけれど。
その姿だけでも記録に残したいと思います。
最寄駅の寺田駅から徒歩10分ほど。
商店街のアーケードをテクテク歩きます。
「源ヶ橋温泉」さんです。
昔、この辺りには「猫間川」という川が流れていたそう。その川に架かっていた橋が、「源ヶ橋」です。
今では川も橋も無くなってしまったけれど、その橋の名をとった屋号は現在まで残り続けました。
全国で初めて「国の有形文化財」に登録された銭湯。
瓦屋根にステンドグラスの窓。
和洋折衷の帝冠建築は、源ヶ橋温泉さんが開業した昭和初期に流行した様式だそう。
中でも目を見張るのが、この自由の女神像。
「入浴=ニューヨーク」のシャレです。
手に持つトーチは「♨︎」になっています。
また、屋根の上にはシャチホコ。
シャレ好きで派手好きの、大阪ローカル色満載の外観です。
一体、この外観だけでいくらかかっているのだろか。そう思って、調べてみたところ「当時の金額で8万円(一般的な銭湯の2倍の費用)」とのこと。
内観もかなり贅沢な造りだったが、外観にも相当贅を尽くしていたもよう。
戦時中、敵国を連想させる自由の女神像は憲兵に目をつけられ、撤去される予定だったという。ただ、いざ撤去を試みたところあまりにも頑丈でビクともせず、結局諦め帰ったという逸話が残されています。
激動の時代を潜り抜けたこの像を、今でもこうして拝むことができるのは、すごく有り難くて、そして尊い。
建物前に設置されている街灯も、何気に年季が入っていて素敵。
煙突。すでにビニールが掛けられていました。
正面玄関周り。
建物、設備の老朽化。
燃料、地価の高騰。
経営者の高齢化、後継者不足。
家風呂による銭湯離れ・・・。
たとえどんなに愛されていても、どれだけ有名であっても、今の時代に銭湯経営を続けるのは、本当に難しいのだと思います。
今後、銭湯は減ることはあっても増えることはまずないでしょう。
もしかしたら・・・今の私たちは、「銭湯」という文化に触れられるギリギリの世代なのかもしれません。
町の中で、ホッと一息つける場所。
そんな安らぎの空間が、徐々に無くなっていってしまうのは、本当に寂しい。
源ヶ橋温泉さん。
初めて訪れた時の感動、決して忘れません。
その豪華で不思議な外観とレトロなのにオシャレな内観に圧倒されて、「銭湯て、やっぱり面白いな!」と改めて思わせてくれました。
風呂を好きになれて良かった。
ここに来れて良かった。
今まで、本当に本当に、ありがとうございました。
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源ヶ橋温泉
〒544-0023
【神戸市】大黒湯
仕事で良いことがあると、何故か無性に風呂に行きたくなる。反対に、さっぱりうまくいかなかった日も風呂に行きたくなる。
結局のところ、風呂には年がら年中行きたい。
今日は良いことがあったので、俄然風呂の気分になった。行き詰まっていた事が、なんとか良い方向に転がりそうなのです。
「っしゃー、今日は風呂行こかー!」
終業時間ピッタリにパソコンを閉じて向かった場所がこちらです。
ふふふふ。
建物が半分見えたところで、マスクの下の顔が思わずほころんでしまう。
「大黒湯」さん。よく見ると結構洋風な建物。
ぱっと見新しい感じがしますが、実は創業自体は古く、大正6年からこの地に湯を沸かし続けておられます。
新開地駅から30分ほど。
湊川公園駅からなら20分ほど。
仕事終わりなのによく歩いたね。自分頑張った。
屋号の上には、少し分かりづらいですが大黒様が微笑んでおられます。洋風建築×大黒様のコラボになんだかグッとくる。
狭い路地で、隙間からニョキッと煙突が顔を出しています。
いっぱい歩いたから汗かいちゃいましたよ。
さてさて参りましょうか!
玄関。ちょっとカクンとした間取り。
なんか良い匂いするなぁと思ったら、蚊取り線香を焚いていました。夏だ。
脱衣所のドアをくぐると、まずはカウンター。
お金を払って、暖簾をくぐります。
おお、・・・・明るい!!
近頃、渋めの風呂ばかり行っていたせいか、ここの脱衣所がやたら明るく感じる 笑
近代的な明るさです。
脱衣所は少しこじんまり。以前までは番台式だったため、フロント式に変わったぶん少し狭くなっています。
天井にはこれまた洋風なプロペラファンが優雅に回っております。
そして浴室。
大黒湯さんの浴室は、とにかくタイルの配色がすごく綺麗。
床、天井、カラン、浴槽の側面、フチ、それぞれに違う色とりどりのタイルが貼られているのですが、それがすごくセンスが良い。
しかも、よく磨かれていてめちゃくちゃピカピカ。
ウチの風呂も、こんな風に綺麗なタイルでいっぱいにしたいなぁ・・・なんて乙女な想像が膨らみます。
カランの丸い鏡も可愛いなぁ。
四角鏡よりも、やっぱり丸鏡が可愛い。
お湯はというと、熱過ぎず、という温度。
ちょうどいいのでゆっくりと浸かっていられます。今日はよく働いた。そしてよく歩いた。
あぁ、ええ湯やなぁ・・・。
よし、エナジー満点です。
大黒湯さん、元気注入をありがとうございました!
(追記)
先月に廃業されたと報告を受け、2021年6月に再訪致しました。
たとえお湯に浸かれなくても、洋風建築の風呂屋と大黒様を、最後にどうしても一眼みておかなければ・・・。
遠くから、煙突が見えて少し安心。
角を曲がるとふいに現れる、洋風の建て構えに思わずハッとしてしまう。
けれど暖簾が揺れていないのが切ない。
大黒湯さんです。夜には分からなかった、グリーンの優しい色合いの壁。そしてちょこんと鎮座する大黒様。
なくなってしまうなんて・・・せめてこの建物だけでもどうにか残ってくれないかな・・・
そう思いながらしばらく佇んでいると、後片付けをしている店主の息子さんが外に出て来られました。
息子さん「よく来てくれてたの?」
私「よく来させてもらってました。最後に一眼見ておこうと思って・・。写真撮らせてもらっていいですか。」
息子さん「もちろん。写真撮って、ここにこんな風呂屋があったってこと残してもらえると嬉しい。」
本当は続けたいんだけどね、僕も歳だから・・と残念そうに笑う息子さんの顔が忘れられません。
息子さんが仰るに、もともと大黒湯さんは旅館だったもよう。それが大正時代の話。
いつしか旅館から銭湯へと業態を変え、時は流れ、大正から昭和、平成、そして令和までこの地に湯を沸かし続けられました。
104年という歳月は長い。その長い長い歳月をこの場所で刻み、見守り続けた風呂屋。
その最後を見届けるのは、寂しい。
良かったら思い出に・・と店主さんにタオルと石鹸のセットを頂きました。最後の最後まで、風呂人情を感じさせてもらいました。
「ありがとうございました。」
と店主さんと建物に感謝の気持ちを伝えて、いよいよお別れです。
大黒湯さんは駅からちょっと遠くて、それでもわざわざ足を運びたいと思う、魅力あるお風呂屋さんでした。
残していかなければ。のれんが無くなっても、看板が無くなっても、建物が無くなっても。何もかもが無くなっても。
ここに風呂屋があったこと。
大正時代から湯を沸かしていたこと。
大黒様が微笑む洋風建築の外観だったこと。
色とりどりのタイルが施された明るい浴室だったこと。
午後に訪れると西陽に照らされて、それはまるで浮かび上がるように美しい風呂屋だったこと。
時を超えて、多くの人に愛されたこと。
大黒湯さん、今まで本当にありがとうございました。
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大黒湯
〒652-0061
営業時間 14時〜23時半
定休日 月曜
【高砂市】梅ヶ枝湯
『銭湯には"表の顔"と"裏の顔"がある。』
・・・なんてツウぶったことを申し上げている私ですが。実際、表の顔(正面玄関)からは想像もできないような裏の顔(釜場.煙突)を持つ風呂屋があったりする。
なので、風呂屋に行った時は必ず表だけでなく裏も確認するようにしています。
私が過去訪れた銭湯のなかでも、特に見応えのある"裏の顔"を持っている場所がこちらです。
「梅ヶ枝湯」さん。
高砂駅から徒歩で5分ちょっと。
表の顔はモルタル壁が渋いシンプルな建物。
そして気になる裏の顔がこちら。
表とは外観のイメージがガラリと変わります。
立派な木造釜場。幾度か増改築を繰り返し、現在のような不思議な様相となったもよう。
古さも相まって、なんだか幻のよう。そこに実在しているのが、すごく不思議に思える。
梅ヶ枝湯さんには5年前にも一度訪れているのですが、この裏の顔がいつまでも忘れられませんでした。
煉瓦を組んで作られた太くて立派な煙突。
写真では分かりづらいですが、黒い煙を吐いています。
内側も気になるなぁ・・・。
燃料の薪材です。
昔から変わらず、薪で湯を沸かし続けています。
裏側だけでもお腹いっぱいになれる風呂屋なのですが、表側もまた素晴らしい。
純度100%のノスタルジア。
揺れる風呂暖簾に揺れる思い。
ドキドキドキドキ・・・
写真左側にニャンがいます。
入り口は京都の風呂によく見られるタイプ。
最初から男女で別れていて、風呂暖簾も入り口に二枚かかっています。
ふぅ、と一息ついて、いざ!
ここから先は秘密の花園です。
昔ながらのタタキの玄関に、番台が設置されています。靴を脱ぐ前に、番台でお金を支払います。下駄箱は木製。また、番台の下部分も下駄箱になっております。
梅ヶ枝湯さんの一番の見どころは、なんといっても建物内部だと思う。
写真撮影はNGのため、お見せできないのが本当に惜しいのですが、脱衣所の雰囲気がもう、昭和初期そのもの。
ロッカーはもちろん木製で、扇風機やクーラーも懐かしい型。
建具も現在のものに比べるとやや小ぶりで、鏡や木のベンチにも年季が入っています。
広告に載っている電話番号も、今では絶対にかからないであろう番号が書かれていて、まるで本当にタイムスリップしたかのよう。
これが再現された空間ではなくて、残り続けた空間であることに、驚きと感激を受けます。
浴室には浴槽が2つ。奥の壁には少し小さいけれどタイル絵の風景画もあります。
浴室の入り口に設置されたタイル張りの水飲み台。「飲料水」と書かれていますが、実際にはもう水は出ません。こちらもかなり古いものと思われます。
使えないからといって撤去せずに、そのまま当たり前のように残されている。
梅ヶ枝湯さんのこの空気感は、そういうことの積み重ねで出来ているのかもしれません。
時刻は19時頃。すでに常連のお客様が4人ほどおられて、みなさん浴槽を取り囲むように身体を洗っていました。
ここは、みんなの風呂屋なんだな。
この風呂屋の日常の中に、余所者の私がふらりとお邪魔させて頂きます。
薪で沸かしたお湯はアツアツで、小さな浴槽で人と分かち合うお風呂は温かい。
湯上り後も、木製ベンチに腰掛けながらしばらく脱衣所を眺めていました。
全体的に薄暗い脱衣所。けれど、当時としてはこの暗さが標準だったんだろうな。
この風呂屋から言わせてみると、今が明る過ぎるのかもしれない。
ノスタルジーな気持ちを引きずりながら、駅までの夜道を歩いて帰りました。
ずっとずっと、今までもそしてこれからも
この場所で湯を沸かし続けてほしい。
梅ヶ枝湯さん、ありがとうございました。
(追記)
2020.10に再訪問致しましたので写真を追加します。夕暮れ時の風呂屋は、より一層ロマンが増しますね♪
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梅ヶ枝湯
〒676-0063
営業時間 16時〜23時
定休日 木曜
【明石市】小久保湯
あれ、おかしいな〜。
地図のとおり来たら、だだっ広い駐車場みたいな場所に辿り着いてしまった。
ホンマにこんな場所に風呂なんかあるんか?
キョロキョロと辺りを見渡した、その瞬間だった。
・・・ん?
なんか、一瞬視界に「ゆ」の文字が見えたような・・・?
ヒェッ・・・・!
なんですの、この妙にワクワクさせられる建物は。
あ、風呂暖簾。
そう、ここが今回の目的地。
「小久保湯」さんです!
どことなく漂うディープ感。
正面玄関は意外にも新しそう。
早速、お邪魔します。
風呂暖簾をくぐった瞬間、なんだか不思議な感覚を味わった。
・・・なんだ?
初めて来るはずの場所なのに、なんかここ知ってるぞ。
こじんまりとした玄関。
不思議な感覚を胸に秘めながら、靴を脱いで玄関にあがった途端、閃いた。
・・・プール。
そうだ。昔、よく行っていた市民プールに玄関の雰囲気がどことなく似ている。
そう思うと、なんだか風呂に来たっていうよりもプールに来たって感じがしてきた。
多分、そう思うのは私だけです。
変な親近感を抱きながら、脱衣所の扉を開きます。
・・・・。
おおおお、シンプル!笑
なんか、より一層自分の中でプール感が強くなってきた!笑
フロントは番台式。
ゆったりめの脱衣所には、二人掛かけのテーブルが置かれていました。
そして販売用の飲み物は家庭用の冷蔵庫で冷やしています。
外観といい、玄関のプール感といい、
全体的にユルッとした雰囲気が漂っております。
こりゃ、一体どんな風呂が楽しめるのかなとワクワクしながら浴室の扉を滑らせた、その時でした。
・・・・・はっ!
汲み出し洗い槽・・・!!
※汲み出し洗い槽とは
体を洗うためのお湯を溜めた、小さな浴槽。
カランの代わりに使われる。
もちろん、中に入ることはご法度。
浴室のど真ん中に鎮座する"ソイツ"を見て私は一瞬硬直してしまった。
そうだ、忘れていた。
私がここに来た理由。
神戸以外の場所で一軒だけ、汲み出し洗い槽を持っている風呂屋が明石にあるという。
それがここ、小久保湯さん。
小久保湯さんは明石で唯一、いや、おそらく神戸以外の国内で唯一「汲み出し洗い槽」がある実はすごい風呂屋なのだ。
ユルッとした空気に飲み込まれて、すっかりそのことを忘れていた。
湯の町浴場さんのものに比べると小ぶりだが、これはどっからどう見ても完全に汲み出し洗い槽。
なんだか、感動してしまった。
カランもあるけれどもちろん、こちらを使わせて頂きます。
浴槽は大きなものが1つ。浴室の一番奥に備え付けられています。構図は湯の町浴場さんとほぼ同じ。
身体を綺麗にして、早速チャポン♨︎
お、入りやすい温度です。
天井を見上げると、ブルーの塗料がところどころはげかけている。そして、全体的に薄暗い。
玄関と脱衣所は新しい感じがしましたが 浴室はなかなかの年季の入りようです。
熱くもぬるくもない程よい温度のお湯に、身体がほぐれていく・・・。
(この日は、実にたくさん歩いた日でした。)
風呂っていいな。風呂っていいな。
人間、どんなに暑くても湯には浸からんとですね。
さっぱりした気分で再び現実世界へ!
ちなみに、小久保湯さんのベスト煙突スポットはJR西明石駅のホームでした。
不思議で魅力的な風呂だった。
小久保湯さん、ありがとうございました!
(追記)
2020.11に再訪致しました。
初訪問時のインパクトが忘れられず、再訪。
今日もたっぷり小久保湯ワールドに浸るぞーと思っていたのに・・・
うそだと言って 涙涙涙
確かに、設備はかなり年季入ってそうだったからな・・・。今回は残念ですが、小久保湯さんの一刻も早い再開を願っております・・。
とりあえず、写真だけ追加します。
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小久保湯
〒673-0049
営業時間 15時〜22時
定休日 金曜
【明石市】名月湯
前記事でご紹介した三光湯さんから徒歩5分ほどの場所に何やら素敵な響きの銭湯があります。
立派な日本建築の建物。「名月湯」さんです。
・・・かっこいい。
これぞ、THE・銭湯♨︎という装い。
早速裏手に回ってみます。
煙突。
辺りは住宅街で、高い建物も少ないので煙突が映えます。
では、いざ入場!
最高にクール!!!
これぞ日本の風呂!そして日本の玄関!!
渋い。最高に渋い・・・!!
興奮のあまりシャッターが止まらない。
落ち着け、私。
私は玄関を拝みに来たんじゃない。
風呂に来たんだ、早く脱衣所へ向かうのだ。
興奮冷めぬうちに、いざ!
脱衣所のドアをくぐると、立派な番台が迎えてくれます。脱衣所ももちろん、最高にクール。内観はもちろん、漂う空気感も堪らなく渋い。
男女の境目の壁には、おしどりの透し彫りが施されていました。
ドライヤーはなく、オカマドライヤーが一台設置されています。
番台の奥様にお話を伺ったところ、名月湯さんは戦後からある風呂屋のようで、今で創業はだいたい70年ぐらい。現在の店主さんは4代目だそう。
長い年月が、この銭湯をより魅力的なものにしてくれているのだと思います。
わびさびの素晴らしさをしみじみと感じながら、浴室へ。
・・・・・・・。
・・・・・!!!!???
なんだ!!??ここはどこだ!!!???
さっきまでのわびさびはどこへやら。
浴室のドアの先は・・・
パステルカラーのメルヘン空間♡笑笑笑
四方の壁に草花のモザイクタイル絵が連なっております。
そして男女の境目である一番広い壁には
ぞうさん。ワンちゃん。うさぎさん。お猿さん。フラミンゴさん。鳥さん・・・♡
可愛い動物さんのモザイクタイル絵がお出迎え♡
ここは・・・ここは幼稚園なのか?
そんなバカな考えが脳裏をよぎった。
違う。ここは風呂だ。
見た目は純日本建築。中身は幼稚園の、風呂だ・・・・。
なんてこった。このギャップ。
私は、また新たな風呂の洗礼を受けた気がした。風呂は時として謎なのだ。
メルヘン浴室には、真ん中に大きな主浴槽と、奥に少し小さな浴槽の計二つ。
主浴槽の温度は、しっかりめの熱湯です。
熱湯に浸かりながら眺めるパステルアニマルズは格別だなぁ〜。ワンちゃんが特に可愛いぞ。
ちなみに、名月湯さんではオリジナルのクリアファイルの販売も行っています♪
名月湯ワールドをしっかり堪能できました♪
帰り際、風呂暖簾をくぐった瞬間
「あ、現実に戻ってきた」
と思いました。
メルヘン幼稚園→郷愁漂うレトロ空間→現実
の三段階でした。不思議だったなぁ。
よぉ〜く見ると、向かって左の壁に「♨︎」が。
名月湯さん、最高に素敵な時間をありがとうございました!!
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名月湯
営業時間 13時半〜21時
定休日 月曜
【明石市】三光湯
今回は明石にある「三光湯」さんを目指して出発しました。ほとんど予備知識なしで行った三光湯さん。果たしてどんな銭湯なのか・・・。
西新町駅から徒歩で5分ほど。
明石川の向こうに見えたのは・・・
「三 光 湯 」
川の向こうから、屋号が「こんにちは」してます。
ああぁ。グッとくる!
建物裏に接近。裏側なのにすでに素敵。
これ、夜になると「光」の上のライトが灯って、暗闇で屋号がいい感じに照らされるやつですやん。
見たい。次来るときは夜だな。
早くも再訪が決定したところで、まだ見ぬ正面玄関へと向かいます。
・・・いい!
すごくいい!
入る前から、もう好き。
かなり早い段階で心持っていかれてしまった。
個人的に、牛乳石鹸の風呂暖簾は人物イラスト付きのものが好きです。なんかほのぼのしてる。
玄関。正面に大きな魚のタイル絵。
下駄箱と玄関の床のタイル。
ちなみに、錠はおしどり錠と鶴亀錠のミックスでした。
脱衣所は番台式。そして、細長くて全体的にコンパクトな作り。(狭いわけではないけれど、なんとなくコンパクトな感じ。天井が他よりちょっと低いのか?)
すでに常連と思しき先客が三人ほどおられました。
私のような余所者にも、とても親切に挨拶してくださる。嬉しい。
そして、洗濯機が二台設置されていました。
そのうち一台はコインランドリーにありそうなしっかりしたやつ。風呂入ってる間に回せますよ!
テレビに映る吉沢亮君のドアップに乙女になりつつ、浴室へ。
浴室もコンパクトです。
浴室の真ん中には楕円形の浴槽。
コロンとした形とサイズで、なんだか愛嬌があります。
奥にもジェット風呂がありました。
そして棚に何故かクマのぬいぐるみも飾られていました。
お湯は割と熱湯。外観からして、ここの風呂は熱そうだなと思ったけれど、ビンゴ。
五臓六腑に染み渡るぅう。
熱いお湯にゆっくり浸かる瞬間て、何故か嬉しそうな顔しちゃう。人間みんなそうですか?
熱湯のコンパクト銭湯に大満足です。
ちなみに、めちゃくちゃみみっちい話ですが、三光湯さん、ドライヤーが20円で4分でした。
基本的に20円3分の設定がメジャーなので、他のところよりも1分お得な気分♪
(この1分が結構貴重なんですよ)
しっかり髪も乾かして大大大満足です。
やぁ。
次は夜に訪れます!
三光湯さん、ありがとうございました。
(追記)
2020年12月に再訪致しました。
念願の夕暮れ再訪です。
寂しく灯る小さな明かりに、胸がジンとくる。
夜の三光湯さんもまた格別でした。
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三光湯
営業時間 14時〜20時半
(入場は20時まで)
定休日 水曜